利回りとは、マンションを賃貸に出した場合に、その物件がどれだけの儲けになるかを表す指標です。たとえば利回りが 20% だと、購入金額の 20% を一年間の家賃収入として得ることができる、つまり、 5 年で購入金額の元が取れるという事を表す数値です。
一般的には投資用のマンションを購入する時に意識をされる指標ですが、これからマンションを売るか貸すかを検討している人にとっては、実際に貸した場合のキャッシュフローを意識するために使えます。
また、マンションを売る時の相場が確認できた場合には、実際のマンションの利回りを計算することにより、そのマンションが投資にどれだけ向いている物件なのかを想定することができます。
同じ利回りでも「表面利回り」や「実質利回り」等、色々な利回りの計算方法があります。これからマンションを貸した場合の利益を計算する場合には表面利回りではなく実質利回りが重要になりますが、不動産会社は多くの場合に表面利回りで話を進めているため、これらの違いを理解しておきましょう。
表面利回りとは
以下が表面利回りの計算式です。
例えば物件を 1500 万で買ったとします。そこを月 15 万円で貸すことができれば、年間の家賃収入は 180 万円になります。
これを先ほどの表面利回りの計算式に当てはめると、この物件の利回りが 12% ということになります。
この計算では 1 年間で購入価格の 12 % の家賃収入を得ることができる、つまり、 約 8 年程で元が取れるという計算になります。
表面利回りの問題点
これを読んだだけでも気づく方は多いと思いますが、表面利回りの計算には税金、管理費、修繕費等、マンションの運用にかかる出費が含まれていません。仮に月 15 万円で貸せる物件でも、月に 10 万円も出費があるとほとんど儲けがなくなることは言うまでもありません。
物件によってかかる税金や管理費なども異なり、ローンがある場合には人によって金利も違うため、不動産会社では利回りの話をする際にはまず表面利回りを使います。しかし、ここに必要経費が含まれると計算が変わってくるので、表面利回りはあくまでも参考程度であるということを覚えておきましょう。
実質利回り
表面利回りの計算式に必要経費を含めたのが実質利回りの計算式です。
上で使った例と同じ状況を想定してみましょう。同じように 1500 万円でかった物件があり、この物件を毎月 15 万円で貸し出せるとします。年間の家賃収入は同じく 180 万円ですが、ここから必要経費を引いていきます。仮に必要経費が年間で 60 万円かかるとした場合、利回りは以下のように 8% まで下がります。
表面利回りの場合には 12% でしたので、およそ 8 年で返済が完了する計算でしたが、必要経費を含めた実質利回りでは 8% となり、ローンの返済に 12 年必要となる計算になります。
実質利回りからキャッシュフローを意識する
表面利回りの方が夢のある数値にはなりますが、現実的な数値を示す実質利回りを意識することが重要です。
マンションを貸す方が有利なのか、売る方が有利なのかを検討している人は既にそのマンションを保有しているため、上記購入金額はそのマンションを売った場合の想定金額と置き換えてみてください。第 3 者としてそのマンションを投資物件として見た場合に、どのぐらい魅力的な物件なのかを客観的に見るために数値として使えます。
ここでは計算式を紹介するために収支を簡略化して説明をしましたが、家賃収入には礼金も含めることができます。また、必要経費も税金、管理費、保険料、ローンの金利など様々な出費があります。
マンションを貸す場合のキャッシュ フローを正確に把握するためにも、可能な限り具体的な数値をもってシミュレーションしてみることが重要です。