思っている以上に払っています!住宅ローンの仕組み

マンションを売る場合にも貸す場合にも、現在のローンの状況を整理することが重要です。

ローンをした当初は頑張って繰上げ返済をして、早くローンを返そうと考えていたはずです。頭ではローンの金額以上を支払うことになることは認識しているはずです。しかし、時間が経過するにつれて、あまり繰上げ返済ができなくなっている人も多いのではないでしょうか。

マンションを売るにしても貸すにしても、ローンがある場合にはその状況も踏まえたうえでどうするかを判断していく必要があります。ここで一度ローンの仕組みを改めて見直し、ローンの影響を確認してみましょう。 

ローンの仕組み

住宅ローンには毎月同じ金額を返済する「元均等返済」が使われることが一般的ですので、この方式を使って説明します。(これ以外にも、進むにつれて返済額が減っていく 元均等返済 というのがありますが、今回はこれには触れません)

また、契約期間中ずっと金利が変わらない「固定金利」と途中で金利が変わる「変動金利」があります。変動金利の場合には定期的に計算を見直す必要がありますが、基本的な考え方としてもいずれの場合も変わりません。

どのようなローンでも、毎月利息分を先に支払うことになり、残りがローンの返済額となるため、最終的には想像以上に余分に支払うことになります。

それでは実際の例を見ながら計算方法を確認してみましょう。

3000 万円の為に 5550 万円払っています!

「5550 円くれたら 3000 円あげます」と言われて 5550 円を差し出す人はいないはずです。しかし、これがローンの実態です。

それでは 3000 万円を年利 3% で借り、返済額が月 100,000 円のローンを例にして見てみましょう。見出しの通り、最終的には 5550 万円払うことになる仕組みを理解しましょう。

  返済額 返済額の内訳
(利息分)
返済額の内訳
(元本分)
借入残高
スタート       30,000,000

1ヶ月目:

年利 3 % ということはこれを 12 で割れば、月単位の金利になります。(実際には <月の日数>/365 で計算しますが、ここでは 1/12 とします。)

    0.03/12 = 0.025 つまり 0.25% になります。

利息はローン残額の 3000 万円に対してかかります。今の借入残高 3000万円 の 0.25% は 75,000 円です。これがこの月にかかる利息分の支払です。

月 100,000 円返済していますが、そのうち 75,000 円は利息としてとられてしまい、実際には 25,000 円しか元本が減っていません。

  返済額 返済額の内訳
(利息分)
返済額の内訳
(元本分)
借入残高
スタート       30,000,000
1ヶ月目 100,000 75,000 25,000 29,975,000


2ヶ月目:

月単位の支払額は 10 万円、月単位の金利は 0.25%。これは一ヶ月目と変わりません。

利息は残高に対してかかります。今回は 3000万円ではなく、29,975,000円に対して 0.25% の利息なので 74,937 円が利息分となります。先ほどの 75,000 円より少し安くなりましたが、まだ大半が利息分としてとられていることが分かります。

  返済額 返済額の内訳
(利息分)
返済額の内訳
(元本分)
借入残高
スタート       30,000,000
1ヶ月目 100,000 75,000 25,000 29,975,000
2ヶ月目 100,000 74,937 25,063 29,949,937

2 ヶ月で 20 万円払ったのに、実際にはまだ 50,062 円しか返せていません。

3 ヶ月目:

計算方法は全く同じです。借入残高 (29,949,937) に対して金利 (0.0025) をかけることで出る利息 (74,874円) をまず支払い、残り (25,126) が実際の返済額になります。

  返済額 返済額の内訳
(利息分)
返済額の内訳
(元本分)
借入残高
スタート       30,000,000
1ヶ月目 100,000 75,000 25,000 29,975,000
2ヶ月目 100,000 74,937 25,063 29,949,937
3ヶ月目 100,000 74,874 25,126 29,924,811

3 ヶ月で合計 30 万払っていますが、ローン残高からはまだ 75,187 円しか減っていません。

このまま払い続けると:

この計算で支払い続けた場合、3000万円を返済するために 47 年 3 ヶ月かかる計算になり、総支払額は 5550 万円になってしまいます。
 
  返済額 返済額の内訳
(利息分)
返済額の内訳
(元本分)
借入残高
スタート       30,000,000
1ヶ月目 100,000 75,000 25,000 29,975,000
2ヶ月目 100,000 74,937 25,063 29,949,937
3ヶ月目 100,000 74,874 25,126 29,924,811
567ヶ月目 100,000 300 99,700 20,458
 
上の例では毎月の返済額を 100,000 と最初に決めましたが、実際には 「xxx 円のローンを xx 年で返すためには毎月 xx 円の支払いが必要です」という計算がされます。これは、指定した期間内で完済できるように支払額が設定されているだけであって、上の仕組みは何も変わりません。
 
単純に考えた場合、 月 10 万円返すことにより 25年 (300ヶ月) で 3000万が返済できると考えがちですが、実際にはその倍近くの 47 年間支払いが続き、さらに総額も倍近い 5550 万になってしまいます!
 
「3000円 をものを 5550 円で売ります」と言われても買う人はいないのに、ローンの場合にはこれが通ってしまっている状況なのです。

繰上げ返済の効果

繰上げ返済はそのすべてが借入残高から差し引かれるため、繰上げ返済の果は絶大です。早い段階であればあるほどその効果はさらに大きくなります。

実際の例として見てみましょう。

借り入れた初月の繰り上げ返済の効果

上の例で 3000万円を借り、全く繰上げ返済をしなかった場合には 47.3 年で総額 5550 万円を払うことなりました。

例えば、最初の月に 50 万円を繰上げ返済した場合、45.7 年で総額 5400 万円でローン完済となります。例えば、これが 100万円だった場合、44.1 年で総額 5270 万円でローン完済となります。

初月の繰上げ返済額 完済までの期間 完済時の総支払額
0

47.3 年

 5550 万
50万 45.7 年

 5400 万 (-150万)

100万 44.1 年

 5270 万 (-280万)

ここで注目するべきところは 50 万繰上げ返済することで総額が150万減るというところです。100 万払うことで総額が 280 万減ります。

このように繰上げ返済には返済した金額以上の価値があります。早ければ早いほど最終的に得する金額が大きくなります。

「今 50 万円返してくれたら総額を 150 万安くするよ」と言われたら誰もが積極的に頑張るはずです。それだけの効果が繰上げ返済にはあります。

今のローン残高で計算してみよう

ローンは長く借りれば借りるほど利息分としての支払いが多くなる仕組みになっています。マンションを貸す場合にも売る場合にも、今あるローンは可能な限り早く完済してしまうことが賢明です。

「このマンションを売ることでローンが完済できるのか?」「このマンションを貸した場合にはどれぐらいの期間で完済できるのか?」「マンションを貸すことで最終的には利益を望めるのか?」など、マンションを貸すか売るかを判断するためにも今の状況をしっかりと把握しておくことが重要です。まずは今の状況を見直して実際にローンの計算をしてみましょう。

計算の手助けとしてエクセルを共有します。マンションを売るか買うかで迷っていた当時に作ったものを少し成形しました。以下のアイコンをクリックすればダウンロードできます。

excelBitmapImage 

「総額いくら払うことになるのか」や「繰り上げ返済をいつ(いくら)したら、どれぐらいの期間(総額)縮まるのか」といった事を計算したかったのですが、一般的なローンのシミュレーション サイトでは計算しにくかったので作りました。長期的に計画を立てるときの参考情報としてでもご利用下さい。

この記事を読んでいただいた方なら説明は必要ないと思いますが、残ローン計算票の使い方はこちらで紹介しています。

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